2022年5月31日火曜日

演奏会と万年筆。

 5月15日に「第2回栃木県新人音楽家演奏会」が開催されました。

この演奏会の出演資格は、「栃木県出身者か県内の大学等に通学している者で、各音楽大学等の学長が推薦する者」となっています。

今回は9大学から15名の方が推薦されました。






私の関係者からは、3名の方が演奏しました。
まずは国立音大から推薦を受けた佐藤七海さんです。彼女は宇短附音楽科時代に、電子オルガン専攻で私が副科ピアノを担当しました。当時から電子オルガン一筋で、まっすぐご自分の夢に向かって歩む意志の強い生徒でした。その思いと勢いは大学4年間でも留まることはなかった様です。学業と並行して、

パリコレで音楽を担当するなど最前線で仕事を始めていました。久々に会った彼女は当時と変わらないクールで控えめ、個性的な彼女そのものでした。



次は宇短大から推薦をいただいた村上琴音さんです。このブログに何度も登場している彼女ですが、彼女も宇短大での2年間、足踏みすることなく自分の夢に向かって邁進しました。そして今春東京音大ピアノ演奏家コースに3年次編入学を果たされました。リハーサルの時は音が響かず心配しましたが、本番では見事な演奏でした。多くの経験をしてきた彼女の成長ぶりに堪能しました。




大先輩である中山里紗さんも応援に来てくれました。


また齋藤文香さんがフルートの伴奏者として出演されました。

演奏者のフレッシュな熱演で楽しい演奏会でした。
この演奏会は栃木県出身の方が、大学卒業時の大きな目標となる演奏会になることでしょう。
末長く見守っていきたいと思いました。


もう一つお知らせです。
6月5日栃木県交響楽団の定期演奏会で指揮を振る小森康弘さんんも教え子です。
先日久しぶりにお会いしました。
相変わらず柔和な温かい心の持ち主でした。演奏を楽しみにしています。




もう一つ、話題があります。
先日「智識」と言う言葉を目にしました。
「知識」と何が違うのか気になって調べてみました。
知識は新聞、雑誌、TVなどから得られる情報を知っている事。
「智識」とはその情報の本質を見抜き、自分の意見として、自分の言葉で言える事、だそうです。
しかし昭和31年の国語審議会で、同音の漢字による書き換えが行われ、「智識」は常用漢字から消えているそうです。残念な気がします。

全く別の話ですが、同様な気持ちになったことがあります。
ドイツでは万年筆を使う文化が残っているそうです。
子ども用の万年筆があり書く授業があるそうで、その文化を守っているようです。
日本で言えば習字でしょうか。
そういえば、日本でも中学や高校の入学祝いに万年筆をプレゼントとするという時代がありました。
私も、息子たちも祖母から貰った記憶があります。
その頃は万年筆を手にする事で大人になったような気がしたものです。
息子たちはあの万年筆を使っているのだろうか・・。

文房具のあり様が大きく変わった現在でも、古き時代の文化を守っている事に感銘を受けました。
万年筆を教育現場で今でも使うメリットは、消せないものを書く事によって、集中力がつくのだそうです。
丁寧に、落ち着いて、慎重に書く習慣が身につき、間違えられないというプレッシャーと闘いながら書き続ける。
確かに集中力がつく行為だと改めて思いました。この能力はいつの時代でも必要だと思います。
現代は便利志向で鉛筆さえ持たなくなっています。小学生もタブレットの時代になってきています。
だからこそ何を残していくのか考える必要があるのではないでしょうか。
そう考えると、音楽は何百年も昔の作品を弾き続ける文化です。それが尊い事だと再認識しました。
偉大なる先人たちの力作を練習する事で、その当時の事に思いを馳せ、想像しながら仕上げていきます。
知識を「智識」に変換させながら自分の音楽となった時に、皆さんに聴いてほしい!と言う感情になるものです。
その機会が発表会やステップやコンクールではないでしょうか。発表の場があることはモチベーションとなります。
まさに今年のコンクールが始まろうとしています。
コンクールの扱い方を間違えることなく、万年筆で文字を書くのと同様、集中力と創造力を持って自分の世界を披露してほしいですね。自分の言葉で。



IKUKO でした。

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