2024年10月30日水曜日

コンクールは人づくりのツール

 お天気が不安定で、秋晴れの日が少ないのは残念に思います。

でも秋の味覚は十分に堪能していますよ。
 先日10月20日には、仙台大崎地区ブルグミュラーコンクールの審査員として伺いました。120名の熱演を聴いてきました。参加者一人一人が真剣に取り組んでいる演奏に楽しく聴かせていただきました。

     


 毎年思うことですが、ブルグミュラー以外の課題曲は実にバランスよく選曲されていると感じます。わずか1ページ足らずの作品ですが、技術的にも表現的にもポイントがあり聴いていて楽しく、馴染みやすい作品が選ばれています。相当の時間と労力を持って選曲されているのだろうと察せられます。選曲者に脱帽です。コンクール参加者もブルグミュラーは勿論のこと、課題曲でのチャレンジでも確実に実力をつけられる絶好の機会になることでしょう。

 コンクールは人づくりのツールです。コンクール当日の数日前からマインドコントロールをして、集中力を高め実力を発するために調整していきます。この行為は年齢に関係なく、自らを高めるためにチャレンジすることで経験を増やすのです。
 自分を追い詰めていく経験から多くのことを学び、強い精神力を身につけます。今年もその成長を見せてくれた教え子がいました。不安との闘いに打ち勝って当日を平常心で迎えられるように導くことの難しさ。それを経験した親子でした。
 お母さんもお子さんの気持ちを諭すことができました。苦しい経験を乗り越えた親子に拍手を送ります。コンクールを上手に使って人づくりしましょう。


IKUKO

集中力の持続に特化するやり方

 集中力は年齢+1分と言われています。皆さんご存知ですか?

 幼児でも5〜6分は集中することが出来ることになります。
幼児が弾く曲で、5分もかかるものはありません。どんなに長くても2分程度。

従って導入期の生徒さんも、集中力をもって最後まで弾き続けることが可能なのです。
しかし、現実は曲中いくつかの注意箇所をクリアーしながら最後まで弾くことは難しいのです。
例えば曲中に3箇所の注意箇所があるとします。子供たちは、3つめの注意箇所の前辺りで集中力が切れてしまうことが多いです。
導入期から注意すべき箇所を忘れずに弾く訓練をすることは大切なことのように思えます。
 
   私の教え子の話をしましょう。幼い時から練習は嫌い。ピアノの周りには常にいるのだそうですが、練習はしない。お母さんが何度も促しても長い時間はやらない。
   音楽的才能がある生徒さんだったので、私としてもレッスンのたびに練習をするように指導していました。
   その彼女が本気で練習を始めたのは高校3年生。音大受験を決めたからです。
幼い頃からピアノの練習に長時間費やすこと知らないで育った生徒だったので、一抹の不安を抱きながらも自らの才能を伸ばす道を志すことを選択したことが嬉しかったことを覚えています。
   彼女は通常の音大受験生のように長時間練習することはなく、仕上げて行きました。練習時間は短くとも、ピアノ演奏に必要な技術、音楽理論、表現力などのレッスンは習得していましたので、無事に合格しました。
   受験終了後、練習時間を尋ねるとニヤっと笑って教えてくれません。そこで彼女が発した言葉は衝撃的でした。何と「私は日々集中力を1分でも長くするように練習してきた。弾き出したら弾き終わるまで集中力を切らさない事に努力をしてきた!」と。
   私は驚きで一瞬言葉が出ませんでした。それまで時間で管理しようとしていたことを省みました。そしてこのような努力の姿があることを知らされました。
   現在彼女はピアニストとして活躍しています。指導者として彼女の才能を摘み取らないでこられた事に安堵しています。
 集中力をどのように養い使うかは様々です。集中力が1時間も2時間ももつ人はいません。
   音楽は精々30分弱。彼女の1分でも長く集中するというコンセプトに音楽は適していたのかもしれません。これから受験期に入ります。勉強も集中力が必要です。
   だらだらと長時間やっても効果が上がらないことも多いです。視点を変えてみてはいかがでしょう。

IKUKOでした。

2024年10月1日火曜日

大城依子先生によるリトミック講座

 雲一つない秋晴れの日が続く今日です。秋の空気感、なんと清々しいことか・・・

 今年も先月23日に大城依子先生によるリトミック最終講座が行われました。リトミック界の第一人者である大城先生のお話は、リトミック暦の浅い方から経験豊かな方までどなたにも深く心に響くものでした。そして最終講座に相応しい「リトミッックとは?」と改めて問いかけられ原点に立ち返る内容で幕を閉じました。



 参加する方々の目的は様々。リトミック講座は初めてという方は、基礎的な拍子や音価を身体で表現する経験をしていきます。参加回数が増えるごとに、歩きながらピアノの音に身体が即時に反応できるか真剣にピアノの音に集中します。複雑なリズムの変化に反射神経をピリピリさせながら運動機能を養います。それから、時間的空間の扱い、エネルギーの実感、コミュニケーション、身体と脳の鋭敏さを体験していきました。そして今回は、形式・8分の12拍子に乗りつつ動的造形に挑戦しました。音楽を学ぶ上で必要な要素を頭ではなく、視覚・聴覚・触覚を関連づけて表現することの学びでした。

 指導者の学びは生徒さんのレッスンに直結します。知識としての理解だけでなく、実際に身体で動いてみると8分音符の軽快さや全音符の大きさ、深さ・重力など実感できます。それが響きとして空間に放たれる音になるのです。そのような感覚を磨くことが、音楽を奏でる全ての方々の演奏に大きく影響を与えるでしょう。つまり身体が楽器になり変われるような感覚です。そのためのノウハウを常に身につけ磨くことが、私たち指導者に課せられた課題であると思います。その学びを生徒さんに還元することをやり続けなくてはいけないことを、大城先生から学びました。大城先生も「日々リトミックやピアノの勉強を続けます!!」と言い添えてお帰りになりました。どの道も極めるためには鍛錬を積むことが大切なのです。


IKUKOでした。